治療方法

放射線治療の効果とリスク

■効果(メリット)

がん細胞は、自ら細胞分裂を繰り返してどんどん増殖していきます。放射線はがん細胞の遺伝子(DNA)に直接働きかけ、細胞分裂を止めたり、がん細胞が自殺する(アポトーシス)現象を後押しして、がん細胞を殺します。

ただし、放射線によってダメージを受けても死なずに生き残ったがん細胞が、しばらく経ってから大きくなってくるという場合もあります。

■リスク(副作用)

食欲不振

放射線治療では、治療後に疲れる、食欲がなくなるといった全身的な症状が現われることがあります。

貧血、白血球減少、血小板減少

血液をつくる骨髄がある骨盤や胸骨などに広範囲に放射線が当たると骨髄の機能が落ちるために、赤血球、白血球、血小板などが減り、そのために貧血などを起こすことがあります。

皮膚の変化

放射線を照射した場所の皮膚の色が赤くなったり、シミにように色素沈着を起こしたり、乾燥したりといった変化が現われることがあります。

その他、放射線治療を行った身体の場所によって、さまざまな副作用が現われることがあります。

頭部:頭痛、めまい、脱毛、頭皮が赤くなる、吐き気、嘔吐など

口腔、頸部:ものが飲み込みにくい、飲み込むときにのどが痛い、声がかれる、口が渇く、味覚が変わるなど

肺、縦隔:ものが飲み込みにくい、飲み込むときにのどが痛いなど

乳房、胸壁:ものが飲み込みにくい、のみこむときにのどが痛い、咳、発熱、息切れなど

胃、腸:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢

膀胱:排尿困難、頻尿など

●放射線療法とは

放射線療法は、外科療法と同じように、がんの病巣だけを狙い撃ちして治療する「局所療法」です。体力がなく外科手術が受けられない場合や、がんが進行していたり、難しい場所にあるために手術が難しいといった場合に、放射線治療が選択されることがあります。

放射線治療は、外科手術と違って臓器を切り取ったり、摘出したりせずにすむため、臓器を温存することができます。

放射線治療はいくつかの目的に応じて行われます。

根治治療

最も多く行われているのは、放射線を当ててがんを殺す「根治照射」です。抗がん剤治療と並行して行われることもあります。

術前、術後治療

手術中にがん細胞が散らばる恐れがある場合に手術前に放射線を当てて、がん細胞をできるだけ殺しておいたり、がんを小さくして手術しやすくしたりするために用いられることがあります。

手術後の再発に対する治療

手術をした部位のがんが他の臓器から再発した場合、食道がん、肺がん、頭頸部がん、乳がんなどの場合は、遠隔転移(最初のがんより遠い臓器や組織への転移)がなければ放射線での治療を行うことがあります。抗がん剤を併用することもあります。

全身照射

白血病などが原因で骨髄移植手術を行う際に、白血病などの再発を減らす目的や、移植される骨髄が拒絶反応を起こさず、うまく生着させる目的で全身に放射線を当てることがあります。

術中照射

手術中に、がん組織を直接確認して放射線を当てることがあります。よりがん細胞を狙い撃ちできるため、腸管などの放射線に弱い組織への影響を少なくして治療することができます。すい臓がんや直腸がんでも行われることがあります。

放射線治療の歴史は100年以上にもおよびますが、技術の進歩によって、周囲の正常な組織にはできるだけ影響を与えずに、がん組織に多くの放射線を集中的に当てることができるようになってきています。

例えば最近では、がん病巣だけを狙い撃ちする「ピンポイント照射」、コンピュータを使いがん病巣の形に合わせて照射する「IMRT(強度変調放射線治療)」、病巣をさらに限局して照射できる「粒子線治療」などがあります。

放射線治療が標準治療として用いられている主ながん>

頭頸部のがん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、悪性リンパ腫、食道がん、脳腫瘍(成人・小児)については、放射線治療が標準治療として用いられています。ただし、他のがんや状態でも放射線治療が用いられることがあります。

癌の三大療法
  • 抗がん剤治療
  • 手術による治療
  • 放射線治療
統合医療
  • 温熱療法
  • 免疫療法
  • 代替療法
  • その他の先端医療
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