●分子標的薬とは
2011年05月13日
分子標的薬は、近年開発が進んできた抗がん剤です。がん細胞は細胞分裂を行い、増殖するというメカニズムに着目したのが分子標的薬で、がん細胞が発する増殖のシグナルを分子レベルで見極め、それを遮断することでがん細胞を死滅させます。そのため、一般的な抗がん剤は正常な細胞も攻撃してしまうのに対して、分子標的薬は正常細胞を傷つけることが少なく、副作用も少ないといわれていますが、まったくないわけではありません。
分子標的薬には大きく「抗体薬」と「小分子化合物」という2つのタイプがあります。
抗体薬は、がん細胞を正常細胞と見分けるために、がん細胞の表面に目印を出現させ、それを標的に攻撃をしかける分子標的薬です。小分子化合物は、がん細胞の中に入り込み、がん細胞の内部で作り出されるタンパク質を標的に攻撃をする分子標的薬です。
<分子標的薬の効果(メリット)>
がん細胞の増殖を阻止し、死滅させる
分子標的薬はがん細胞の増殖を妨げ、がん細胞に自殺(アポトーシス)を促すといわれています。
自己免疫力の活性化
分子標的薬には2つのタイプがありますが、そのうち「抗体薬」という分子標的薬は、がん細胞に直接攻撃を仕掛けるうえに、自己免疫力を活性化させ、がんが生存しづらい体内環境へと導く働きも期待されています。
進行がん、難治がんに光明
これまで有効な抗がん剤がなかった「転移性腎細胞がん」や「進行肝細胞がん」、「骨髄性白血病」などに分子標的薬が開発され、治療成績が上がっているという報告があります。
<分子標的薬の副作用(リスク)>
分子標的薬は一般的な抗がん剤に比べて正常な細胞への影響が少ないため、副作用はあまりないといわれていますが、中には、これまでの抗がん剤ではみられなかったアレルギー反応やにきびのような湿疹、肺障害など特殊な副作用が現われている薬もあるといわれています。